水草奮闘記

2016-08-26

水草

2014,7,15の事務所の水槽です

夏祭りの、金魚すくいで貰った一匹の金魚が始まりでした。

 

 「金魚さんかわいいね」

 どういうわけか、家にあった、口がチューリップに開いた丸い金魚鉢に、その一匹の金魚を入れました。

3歳になった娘と、顔を寄せ合って、飽きもしないで金魚を眺めてました。

「友達がいないとさみしそう」3歳の娘が言いました。

 早速娘を連れて金魚屋さんに行きました。そしたら、そこはなんと、夏祭りの金魚すくいのオッチャンのお店だったのでした。いろいろな水草や、きれいな熱帯魚がいます。しかし、その時は全然興味がわきません。金魚水槽ばかり眺めていました。いろいろな金魚がいる事に感心して、結局黒い出目金とフナのような金魚を、合計5匹買って帰りました。

 いよいよ、友達とご対面です。水槽の水を少しとって、買ってきた5匹の金魚を、ビニールの袋から水槽に放しました。5匹の金魚は、所狭しと泳いでおります。というか、その水槽では明らかに狭すぎました。お祭りで貰った金魚が一番小さく、逆に新参者の友達にいじめられています。

 「最初の金魚さんかわいそう」3歳の娘が言いました。

 娘と私は、さっき行ったばかりの金魚屋さんにいました。オッチャンは、どうしたの?という顔で「いらっしゃい」と声を掛けてくれました。オッチャンの勧めで、金魚飼育セット一式付いた45センチの水槽を購入しました。今度は水槽に砂利も入りました。金魚草も中に入れました。ヒーターもあるし、濾過機もあるし、ライトも付きました。

 金魚たちも大喜びしているのがわかります。娘と、ハイタッチして喜びを分かち合いました。

 

 仙台の大きな熱帯魚屋さんに回った時に、衝撃的な出会いが待っていました。

 出目金の奇形のような、ほっぺの膨らんだ水泡眼が優雅に泳いでいるのです。一瞬にして体に電流が走りました。

な、なんと、隣の水槽には、出目金の目が上を向いている、なんともまぬけ顔の頂点眼もいました。もうたまりません。アドレナリンもMAX状態です。

 めでたく、水泡眼も頂点眼もうちの水槽の仲間になりました。

 その時すでに、水槽は60㎝になっていました。

 

 友達が自分の部屋を改装したので、一緒に飲もうと誘われました。

 きれいにリノベーションなった部屋。テレビの隣りには、なんと熱帯魚の水槽が置かれていました。

 「こうやって、部屋を暗くして、サイドライトと水槽の明かりで、水割りを飲むんだよ。もう、WINKの愛が止まらないだね」

もう言っていることが意味不明です。だけど、なぜか悔しい。我が家の水槽は、まぬけな顔の水泡眼と頂点眼が、競うようにコミカルに泳いでます。、明かりを消してBGMを流しても「馬鹿だね、こいつら」娘と指を差して笑うけど、けっして、WINKの愛が止まらないには、なりませんでした。

 次の日から、金魚の水槽の隣りに熱帯魚の水槽が鎮座することになりました。

 

 熱帯魚の雑誌を眺めていると、「ネイチャーアクアリウム」とか「ダッチ水槽」とか水草の特集が組まれていました。

 なんてきれいな水槽なんだ。

 水草水槽の第一人者のADAの天野尚氏の出身が新潟と言うことを知り、ADA本社にショールームもある事が判明。これは行くしかない。

 居ても立ってもいられず、行きました。娘も6歳になっていました。その下に5歳の弟と、3歳の妹もいました。ADAのショールームを観て、寺泊まで足を延ばして、民宿に泊まって海水浴もして来ました。

 

 その頃になると、水草水槽も結構上手に作れるようになっていました。成長の速い水草は、途中で切ってトリミングします。切ったものはまた砂に埋めればきれいに成長します。また、成長した水草をトリミングします。もう、植えるところが無くなったので、水槽を買った金魚屋さんのオッチャンに、トリミングした水草を持って行きました。金魚屋さんのオッチャンは、「貰ってもお金はやれないから、好きなの何本か持って行っていいよ」と言ってくれました。物々交換です。顔に似合わずいつもやさしいオッチャンです。

 

 部屋のダウンライトを絞って、BGMはSTYXの「エッジ・オブ・センチェリー」最高の雰囲気でウイスキー山崎を片手に、きれいに出来上がった水草水槽を眺めました。水槽一面緑に覆われた背景の中で、カージナルテトラが優雅に泳いでおります。至福のひと時です。

 あれ?だけどなぜか違和感があります。そうです。隣の金魚の水槽です。相も変わらず、水泡眼と頂点眼がまぬけな顔をして泳いでおります。

 

 次の日、金魚屋さんのオッチャンの所にいました。

 「それは交換できないからね」開口一番オッチャンが言いました。

 あれから、味を占めた私は、2週間くらいで成長する水草をオッチャンの所に持って行って、物々交換にしていたのでした。

 「オッチャン、これは交換しなくていいんです。今まで大事に育ててきた水泡眼、頂点眼、そしてその他大勢の金魚たちを、お願いだから、この大きな水槽に放させてください。あわよくば、このまぬけ顔の水泡眼や頂点眼でも、大事に可愛がって飼ってくれる人が現れるかもしれません。その時はいくらかでもオッチャンに今までお世話になったお返しを、商品代金という形でお返すことが出来るかもしれません。想像するだけで、そんな幸せなことはありません」白々しいことを口にして、金魚さんたちにごめんなさいを言ってお別れしてきました。

 

 「ところで石附君、熱帯魚に凝ってるって聞いたんだけど、水草あげるからよかったら来ないかい?」

取引先の社長から電話を頂きまして、早速飛んでいきました。

 なんと、アヌビアスナナが山ほどあったのです。

 「どうしたんですか、社長」興奮冷めやらず、問いかけました。

どうやら、市内の喫茶店が閉店した時に水槽を置いて行ったらしく。その中にあった、たくさんの水草のようでした。

当然、水槽も余っていましたが、それはリース物件らしく、社長の口利きで、120㎝の水槽を安く譲って貰うことになり、超ラッキーでした。

 

 あれから、20年。いまだに水草は極められません。調子がいいなと思ったら、苔が大量発生してみたり、苔を食べるヤマトヌマエビを100匹投入したら、なんと次の朝ほとんど死んでいたり、水草水槽は奥が深すぎます。これからも、苔との戦いに奮闘する日々が続くのでした。

 

 

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